ワイルド・ソウル という本の感想です。
こんにちは、2代目カズートです。
今日は
あ、前回言い忘れましたけどがっつりネタバレなんで読んでなくて読むつもりのあるかたはやめておいた方がいいです!笑
こんにちは、2代目カズートです。
今日は
垣根涼介 作
「ワイルド・ソウル」
の感想を書いていきたいと思います~
これは読んだのがちょっと前なので、細かいところまで覚えていないのですが、
鬼ほど感動したことだけは一生忘れないくらい感動しました。
美しい復讐譚と、そう感じました
まずは前編ですよ。
なんて、なんて辛いお話なんでしょう…
僕はなんとか衛藤一家は生き残るんじゃないかと思って読み進めていたのですが、
あっという間に死んでしまいました。2~3ページじゃないですかね…
アマゾンの奥地で、いかに人間が無力なのかを日本にいながら味わった気分です。
もし僕が彼らの生活を強いられたら、生きていけるだろうか…
全く自信がない。
けど、彼らのような人たちは現実に山のようにいたのです。
信じがたい事実。
家族を失った後の衛藤のブラジルでの生活も非常にリアリティがありました。
まともに食べられる職業は見つからず
砂金を集めては半殺しの目に会い、
そんななかエルレインという女性に出会い、衛藤が束の間の休息をとる場面がありましたが
体を売るエルレインに頼っているうちに、心が腐っていく自分に気がつく衛藤。
あの場面は印象的でした。
似たような立場のブラジル人達は、それでいいと思っている。
だけど衛藤は、例え回りが許そうとも、エルレインがそれを望んでたとしても、
衛藤自身がそれを許せなかった。
文字通り、死ぬほど厳しい未来が待ち受けていることを覚悟で、彼はエルレインのもとを離れました。
僕が彼の立場だったらそんなことができるだろうか。
これもまた、全く自信はない。
その後、ある町で衛藤が絶望にくれているときに、手をさしのべてくれたアラブ人の男。
名前は忘れましたが。
彼の言葉は僕の心を強く打ちました!
「俺も昔、死にそうなところを助けてもらったことがある。だからお前を助ける。そしてお前も、いつか誰かを助ける。そうやって、世界は回っている。」
間違いなくこの世の心理の1つでしょう。
もし子供が出来たら、この言葉を忘れない子どもになってほしい…
僕も忘れないようにしよう。
そして上巻のラストは、衛藤が因縁のクロノイテに戻る場面。
生存者は0かと思った衛藤達を襲う謎の子供が。
彼はなんと、いろいろと世話を焼いてくれた野口夫妻の忘れ形見、ケイイチでした。
ケイイチを養子とし、エルレインと結婚した衛藤。
後編は
それから15年ほど後まで時は進みます。
現代日本に、3人の男がいました。
ヤクの売人を取り仕切りつつ、表の顔は宝石アクセサリーショップの店長である、松尾
ビルの清掃業者で働く、なんの変哲もない初老の男、山本
そしてブラジルからの観光客、カルロス
彼らが巻き起こす事件を、準備段階から細かく描写しているにも関わらず、実行の時までその内容の全貌は明かさない巧みな文章でした。
これは驚きです。
また、犯行のための細かな設定や、会話が文字でかかれているのに、しっかり絵が想像できた。
そして、計画は二段階あるということがだんだん明るみになっていくが、1段階目の内容は想像できても、二段階目の想像はついぞつきませんでした。
犯行の内容を、読者が想像できるように書くのですが、絶対にその想像通りのものは書かない。凄いことです。
そして日本国内では誰も死ななかった。
あれほど憎んだ外務省相手に、
あれほど大がかりな犯行を起こしたのに。
そこに僕は彼らの美しさというか、そんなものを感じずにはいられませんでした。
あ、一人死にましたけどね、マリオ。
まあ彼は極悪人なのでよしとしましょう。
悲しいけど。
山本のオヤジの最後のところを読んでたとき、呼吸が止まってたと思います。
まさか、あの採金場での略奪は、山本のせいであったとは…
しかし僕は山本を責めれませんし、あの秘密を衛藤やカルロスが知ることがなくてよかったと思います。
だって、彼らが仮に知っていたとしても、山本を責めたり、恨みを感じたりなんてことはしないと思うから。
ブラジルにおいて、強盗に襲われることは、日本でちょっとゲリラ豪雨に遭う位の確率と変わらないんじゃないでしょうか。
それに人間は動物で、生存本能がある。
そこを理性で押さえ込むことができる人間はほとんどいない。
彼らはそれをわかっているはずです。
ただ、山本は15年間、衛藤に対する責任感でおしつぶされそうだったと思います。
そういう意味では、あのタイミングで山本が自殺できたことは、とても幸運ではなかったかと、そう思うのです。
なんの未練もなく死んでいきました。
事情を知らない衛藤親子や松尾は心を痛めるかもしれませんが、
あの事実。山本が衛藤を売ったという事実は闇に葬り去られたのです。
さて、最後に書かずに終われないことが残っていますね!
もちろんカルロスと貴子のことです。
この二人が絡み合ってからというもの、ページをめくる手が止まらない止まらない。
本気で好きになった男が、信じられないような大事件を引き起こした。
そして貴子は、それを報道する番組の制作担当。
どんなシチュエーションだ!!!
こんなの、人間の精神は耐えられるのだろうか?
最初はヤリたいついでに利用するつもりしかなかったカルロスも、気がつけば彼女のことを本気で想っていたところなんか、面白すぎてしょうがない。
自殺寸前までいったカルロスが、おそらく、貴子と幸せに暮らしていくことを示唆したエンドが実によかった。
僕好みのハッピーエンド。
山本の親父だけは死んでしまったが、
RX-7に助けられた松尾は、おそらくカルロスのもとへいくだろうし、本当に素晴らしい終わりかただった。
あということといえば、
ジャングルやブラジルでの生活にしろ、
カルロスの日本人離れ加減も、
マフィアの元で育った松尾の描写も、
外務省の体質にしろ、
テレビ局内の描写にしろ
全てが物凄いリアルだった。
本当にそこにいて見ているかのような感覚だった。
僕も垣根さんみたいな文章がかけるようになりたい。
バイクのレースをテーマに小説を書くのだ。
おや、また夢がひとつ増えてしまった…
そろそろまとめますが!
この本を読んで、
自分にはなんてワイルドソウルがないんだと思い知らされた。
心が弱っちいのだ。小さいのだ。
自信も余裕もなにもない。
こんなんだから彼女なんて出来るわけもない。
日本で得られるワイルドソウルなんて、彼らのそれに比べればちっぽけなものでしかないが、理想をもちつづけることが大切だと思う。
当時の外務省のような、自分達だけが良ければ良い、そんな風に考える人が一人でも多く変わっていく世の中を目指して、そのために自分の力を少しでも使えたら、それは自分が生きてる意味になると思う。
長くなってしまって申し訳ありません。
もしここまで読んでくれた方がいらっしゃいましたら、深くお礼申し上げます…
それではまた!
読みながら書くのは大変です。汗
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